蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

浩介の脳裏に、一つの仮説が浮かんだ。

 
衣笠の研究テーマは、『動植物におけるクローン技術』


受精の過程を経ずに、一つの細胞または個体から、細胞分裂を繰り返すことによって全く同一の遺伝子構成をもつ新しい個体を、『複製』する技術。


その技術は、主に農作物や家畜などの品種改良や、大量精算といったものへの応用が期待されている。


「教授? まさか、あの子供達は……」


浩介は、『あの子供達がクローンではないのか』という言葉を飲み込んだ。


そんなはずはない。


植物実験ならともかく、動物実験でのクローンが成功したなんて話は聞いたことがない。
まして、『人間のクローン』だ。


それは、技術的にも、倫理的にも、不可能であるはずだった。

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