蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

「あの黒髪の少女が、『日翔藍(ひかけあい)』


この日翔生物研究所、いや、日翔グループ会長、日翔 源一郎の孫娘で、唯一の後継者だ――。


そして、茶色の髪の少女が、私たちは『大沼藍』と呼んでいるが、彼女は日翔藍が五ヶ月の胎児だった時に作られた、クローン体だ」


「……まさか、そんな事が……」


浩介は、教授の余りにも衝撃的な告白に、言葉が見つからなかった。


衣笠の性格から言って、進んで人体実験をするとは、到底思えない。


黙り込んでしまった浩介に、追い打ちを掛けるような言葉が続く。


「大沼藍は、日翔藍の『臓器移植』の為に、私が作ったクローン人間だ」


そう言うと、衣笠は黙り込んだ――。


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