蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「先生!? どうしたの!? どこか痛いの!?」
音声多重放送のような二人の声が響く。
「いや、何でもないよ。大丈夫。ちょっと、目にゴミが入っただけだよ。どうしたんだい?」
ボトルを棚に戻し、二人をソファーに座らせる。
「二人だけで来たのかい? 前田さんが心配するだろう?」
「大丈夫よ! ちゃんと言って来たから!」
ね、とニコニコしながら、二人の藍は顔を見合わせる。
「はい、先生! これプレゼント!」
そう言って二人で一つの、可愛くラッピングされた小さな包みを差し出した。
――プレゼント? 今日は何かの日だったろうか?
「開けてみてもいいかい?」
そう断って包みを開けてみると、
出てきたのは、手作りらしい、ハート形のチョコレートだった。