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再会

風葉side
私、桜庭風葉はお嬢様学校に通う17才。
どうしてお嬢様学校に通っているかというと、私の家が華道の家元だから。
一週間前、12年間私を育ててくれた大好きなおじいちゃんが死にました。
今日はおじいちゃんの弁護士さんが家に来ています。
理由は解りません。
「弁護士さん、今日はどのようなご用件でしょうか」
「はい。本日は将蔵様よりお預かりいたしていた、遺言状をお持ちいたしました」
「遺言状?」
今時書く人いるんだ…
「はい。こちらです」
弁護士さんが取り出したのは真っ白な封筒だった。
開けると1枚の手紙が入っていた。
丁寧で綺麗なおじいちゃんの字で書かれていた。
「弁護士さん、ここに書かれている事は本当の事ですか?」
「はい。全て本当の事です」
「じゃあ当主のことは…」
「遺言状に書かれている通りです」
「……」
43代目…桜庭風葉
「無理です。私はまだ17ですよ?」
「しかし将蔵様が風葉様を次期当主に、と言われましたので」
「伯父さんが居るじゃないですか」
「遺言状は絶対ですので」
「…」
私には伯父さんが一人いる。
お母さんのお兄ちゃんで会社の経営をしているらしい。
何の会社かは忘れたけど。
伯父さんは私を良く思ってないようで会うたびに邪魔者扱いされた。
「では私は失礼させていただきます」
「あっはい。今日はありがとうございました」
「何かご不明な点がございましたら、ご連絡下さい」
「はい」
庭の鹿威しが鳴る。
もう一度手紙を読み返す。
やっぱり次期当主には私の名前。
そのほかにも43代目襲名発表までは伯父には伝えない事、遺産は伯父には一切分けない事などが書かれていた。
おじいちゃんも伯父さんの事嫌いだったんだ。
「風葉様、お話は終わりましたか」
「はい龍仁さん。今弁護士さんが帰りました」
「そうですか」
龍仁さんは私のお世話係で私が小さい時から傍にいた。
「あの龍仁さんどうしましょう」
「どうされましたか?」
「私が43代目を襲名することになったんですけど」
「それはおめでとうございます。実は私襲名の件は以前、将蔵様よりお伺いしておりました」
「おじいちゃんから?」
「はい」
なんだ、龍仁さんは知ってたんだ。
じゃあなんで教えてくれなかったんだろう。
「急ですが今月の末に襲名パーティーを行う予定です」
「急ですね」
襲名パーティーか…。なんか嫌だな。
「風葉様。お風呂の準備ができていますので、今日はお早めにお入りになられてはいかがですか」
「はい。そうします」
着替え取りに行かなきゃ。
パラッ。
封筒から何かが落ちて来た。
あー封筒、反対に持っちゃった。
「何これ」
落ちて来たのはさっきの手紙よりも一回り小さい手紙だった。
『風葉へ。お前に言っておきたい事がある。実はお前には婚約者が居るんだ』
「婚約者?」
婚約者ってなんだっけ。
んー。もう少しで出てきそうなんだけど。
「龍仁さん婚約者ってなんでしたっけ」
「婚約者ですか?婚約者は結婚を約束した恋人同士の事ではないでしょうか。それにしても婚約者がどうかしましたか」
結婚を約束した恋人同士…
結婚を約束…
約束…
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
おじいちゃん。
これはどうゆう事ですか?
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