茅side
会場のホテルに着くと、まず俺達は持ってきた着物に着替えた。
着つけは一通り習っている。
着替えを終わして部屋で寛いでいると控えにドアを叩く音がした。
「茅、着替え終わった?」
「終わったよ」
部屋に入って来た風葉はさっき選んだ瓶覗の色の着物を着ていた。
「どっどう?」
「すっげー似合ってる」
「ホント?」
風葉は笑顔で傍に寄って来て俺の隣に座った。
「なあ、風葉。このホテル覚えてる?」
「うーん。覚えてない」
記憶力悪いな。
「一ヶ月くらい前に俺達が会ったホテルだよ」
「…あー」
あーって…
それにここ俺達が初めて会ったところでもあるし。
「ねえ茅。今日は茅の家の人来るんだよね」
「うん。父さんも母さんも皆来るよ」
どうしよう茅花も来る。
相手するの面倒だな…
「楽しみだな。妹さん茅花ちゃんも来るんでしょ。早く会いたいな」
風葉は楽しそうだな。
「妹って言っても双子だから同い年だよ」
「双子!?茅とそっくりなの?」
「似てるっては言われる。一卵性だから」
「一卵性の兄妹って珍しいね。益々会いたくなった」
「じゃあ楽しみにしててね」
風葉と茅花気が会いそうだな。
「失礼します」
「はい」
部屋に入って来たのは風葉の世話役の龍仁だった。
「会見の準備ができました」
「はーい。行こう茅」
「うん」
「緊張するー。茅は緊張しないの」
「あんまりしないかなテレビとか出てるし」
「そうだよね」
俺達は手を繋いで会場に向かった。
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