無口なカレシの愛し方
クンクンと、自分の服や髪の匂いを嗅いでると、優吾がそんな私を振り返って近付いて来た。
「どうしたの?」
「ん。私、燻されてるなあと思って。全身から焼き鳥の匂いがする」
苦笑いをした私に、優吾は更に一歩近づくとふいに手を伸ばしてきた。そして、長い指でゆるりと私の髪をひとふさ手に取り…そこに顔をうずめる。
「…大丈夫。いい匂い」
彼のそんな大胆な行動に、今だかつてない距離の近さに、油断していた恋のボルテージが振り切れそうなほど急上昇する。
「オレンジっぽい匂いする。なんかつけてる?」
反則だ。そんな。
髪から瞳へ視線を流す優吾の色気は、不意打ち過ぎて反則だ。
ドキドキし過ぎて読み取れない、解析出来ない、彼の少ない言葉の真意が。
けど。
「…ヘアパフューム、少し付けてる」
「いい匂いだよ」
そう柔らかな声で囁いて、大きな手で今度は頭を抱き寄せながら首筋に顔をうずめた優吾の行動に、もう言葉の真意なんか読み取る必要はない。
私の頭をゆるゆると撫でる大きな手が、息遣いが聞こえるほど縮んだ距離が、触れた体から感じた熱が。
言葉以上に気持ちを物語っている。
両想いってことでいいですか?
いいですよね?
黙って目を閉じると、少し武骨な指先が頬と唇を撫でて、それからキスが落とされた。