*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
そんな会話を聞きながら、汀と藤波は蒼くなる。





(…………どっ、どうしましょう!


ぜーんぶ、ばれちゃったわ!!)





(………やばい!! 大変なことになってきたぞ!!)






冷や汗を流して硬直している二人をからかうように、息吹が顔を近づけてくる。






「………ふぅむ。


二人とも、なかなかきれいな顔立ちをしているなぁ。



そうだ、こういう手もある。


お前たちを人買いに売るのだ。



見目の良い少年少女はいくらでも使いようがあるから、高くで売れるもんな。



これが一番、大金になるかもしれないな」






「…………ひっ、人買い!?」






物騒な単語が唐突に出てきたので、藤波は焦った。





それを見ながら、息吹はこくこくと頷いてみせる。






「俺たち青羽山の盗賊はな。


金や宝石、武器や馬以外にも、人間も盗んでくるんだよ」






「……………なっ」






藤波は驚いたように目を剥いた。






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