*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
「盗んできた女は、だいたい、仲間たちに好きな奴を選ばせる。


それで残った女は、人買いに売るんだ。


仲間たちの相手をして、飽きられた女も、売ることがある。



盗んできた男はまぁ、あんまりいないが、問答無用で売る。



少年だったら、物好きなご老人たちに高くで売れることもあるしな」






藤波は全身の肌を粟立たせて、息吹を睨みつけた。





息吹は面白そうに笑い、今度は汀のほうを見る。






「………しかしまぁ、不思議な色の瞳だ。


お前は、どうしてくれようか。



大金と引き換えに白縫山に帰してやってもいいが………。


少し勿体無いな。



お前は売りようによっては、かなり高額で売れそうだ。



そう、たとえば………青羽山の泉の精霊を捕らえたということにして、見世物として金をとるとか、な」






「………んまぁ、泉の精霊、ですって?」





突拍子もないことを言い出した息吹を、汀は首を傾げて見つめ返した。





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