*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
春らしい、暖かい夜風が吹いていた。






灯は黙ったまま、向かい合って語り合う二人を眺める。






母と娘は、よく似た顔をしていた。




そして、同じように屈託のない明るい笑顔を浮かべて、お喋りに興じる。





その話題は、とりとめもなく変わっていった。






お気に入りの物語の話。



その物語に出てくる、憧れの殿方の話。



好きな草花の話。



いつでも諳んじることのできる歌のこと。



昔飼っていた犬の名前。



親に連れられて行った寺社詣での思い出。



そこで参籠していた夜、嵐に見舞われて、恐ろしかったこと。






何気ない話の中に、汀は何度となく母親の話を紛れ込ませた。




それでもやはり、母は何も気づかず、にこにとしながら汀の話を聞いていた。







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