*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
「そうだ、灯に教えてもらいなさいな!!



灯は自分の馬を持っていないし、普段は乗らないけど………でも、動物の扱いがうまいから!!


きっと上手に教えてくれるわよ!!」






その言葉に、汀がぱっと顔を輝かせる。






「………そうね!!


やっぱり、蘇芳丸に教えてもらうわ!!


都から戻ったら、さっそくお願いしに行かなきゃ!!」






(…………うぅ、ごめんね、灯。


大変な役を押し付けちゃって。



でも、あんなにきらきらした瞳で見つめられたら、落ち込ませるようなこと言えないわ!!


私には汀の世話は重荷すぎる!!)







そんな檀弓の心情も知らず、にこにこと笑っている汀を見ながら、藤波はくすりと声を洩らす。






(………あーあ、嬉しそうにしちゃって。


あんなお転婆でおっちょこちょいなのに、馬を乗りこなせるわけないのに)






珍しく柔らかい表情をしている藤波を、隣を駆ける楪葉がじっと見ていた。







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