*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
しかし、灯本人にとっては、たまったものではない。
「………本当にあいつは………。
どうしてああなんだろうか。
あんなはちゃめちゃな奴、見たことも聞いたこともない」
「そうかい?」
「そうだよ!
この前なんて、あいつのせいで落馬かけたんだぞ。
馬に乗ったこともないくせに、俺の手を噛んでまで手綱を奪って、勝手に栗野を駆けさせたんだ。
栗野が興奮して言うことを聞かなくなってしまったから、なんとか飛び降りて事無きを得たが………。
一歩まちがえば命はなかった」
「………そりゃ、大変だったな」
珍しく愚痴っぽい灯をねぎらいながらも、灯と汀が仲良く馬乗りをしているところを想像し、群雲は笑いが洩れそうだった。
「それにな、ついさっきなんて、藤波が女だと急に思いこんで」
「…………はぁ? なんでまた」
脈絡もない汀の勘違いに、さすがの群雲も驚いてしまう。
「………本当にあいつは………。
どうしてああなんだろうか。
あんなはちゃめちゃな奴、見たことも聞いたこともない」
「そうかい?」
「そうだよ!
この前なんて、あいつのせいで落馬かけたんだぞ。
馬に乗ったこともないくせに、俺の手を噛んでまで手綱を奪って、勝手に栗野を駆けさせたんだ。
栗野が興奮して言うことを聞かなくなってしまったから、なんとか飛び降りて事無きを得たが………。
一歩まちがえば命はなかった」
「………そりゃ、大変だったな」
珍しく愚痴っぽい灯をねぎらいながらも、灯と汀が仲良く馬乗りをしているところを想像し、群雲は笑いが洩れそうだった。
「それにな、ついさっきなんて、藤波が女だと急に思いこんで」
「…………はぁ? なんでまた」
脈絡もない汀の勘違いに、さすがの群雲も驚いてしまう。