「「言えない」」

やっと保健室まで辿り着いた

こんな短な距離でさえも
ここまで時間がかかるとは...


ーキーンコーンカーンコーンー


予鈴が鳴り響く


あぁホームルームが始まった

サボりには慣れている
だが、

「え、先生出張...?」

保健室のドアに貼られた紙には
出張の文字

...。

「職員室、い、い、行こう、か。」

震える声

一瞬、他人の声だと
錯覚してしまう程の震え様


「でも遊月、先生いるよ?
大丈夫なの?」

心配する彼女、それもそのはず


私は先生が大っ嫌いだ


誰がどうとか、そんなの関係なく
大っ嫌いだ



でもここで妃吏を1人にするわけには...

うぬぬ...と心で葛藤していると


「君たち、もうとっくに予鈴は鳴ったけど...」

後ろから低い声


額に変な汗が伝う
悪寒とともに頭が真っ白になっていく


先生だ、この話し方は先生だ

不意に鳥の鳴き声が聞こえた

冷静さを取り戻す

あれ、でも...


こんな声聞いたことない。


バッと振り向くと、そこには



新品のスーツに身を包む
1人の若い男がいた




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