箱入り結婚のススメ

「おはようございます」

「舞さん、おはよう。車に行こうか?」

「はい」


父と母と会う前に、もう一度彼と話したくて、私が呼び出したのだ。
彼の車の助手席に乗せてもらうと、彼はすぐにエンジンをかけた。


「話ってなにかな? どこかに移動しようか」

「あの、ふたりだけでお話したいので、近くの公園でもいいですか?」

「もちろん」


私の誘導で公園に車を走らせた彼は、駐車場に車を停めると口を開いた。


「車の中の方がいいかな」

「はい」

「なんだか、泣きそうな顔をしている」

「すみません、私……」


もし父や母に交際を反対されたら……と考えてしまうと、とたんに不安になった。
父は頑固だから、簡単には覆せない。

不安な気持ちをメールに書いたものの、結局送信できずに、今に至る。
上手く書けなかった私は、会って話したいと思ったのだ。


その時、膝の上でギュッと握りしめていた手を、彼の大きな手が包み込んだ。
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