箱入り結婚のススメ
「私は……」
どうしたらいいのかわからずに、ただオロオロしていると、最初に口を開いたのは室賀さんだった。
「おっしゃる通り、私には贅沢を保障しますというほどの収入はありません。
ただのサラリーマンですから。ですが……」
キリリと顔を上げた室賀さんは、一瞬私に視線を送り、口を開いた。
「先ほど申し上げましたように、私なりに、舞さんに苦労はさせない自信があります。
それに、お金だけが幸せを生むとは思えません」
『お金だけが幸せを生むとは思えません』ときっぱり言った室賀さんに、私はますます好感を持った。
「私はごく平凡な中流家庭で育ちました。
経済的なことで苦労はしませんでしたが、いくらでも贅沢できるという訳でもありませんでした。
ですが、とても幸せでした」
まだ彼の家族のことなどなにも知らない私は、その話に吸い寄せられる。