箱入り結婚のススメ
「父と母と兄がいて、時には喧嘩もしましたが、互いが互いのことを思いやり、仲良く暮らしてきました。
私が家を出てからは、なかなかそういう時間を持つことも叶いませんが、今でも当時のことを思い出すと、顔が緩みます」
室賀さんの突然の告白に、父が少し驚いているように見える。
「舞さんも同じではないでしょうか。
こうしてお父様とお母様に愛されて、心配してくれる家族があって。
もちろん、経済的な要素が大切なのは、私も理解できます。
ですが、それより大切なものが、私の家庭にも舞さんのご家庭にもあると思うのです」
『それより大切なもの』という言葉を聞いて、私は思わずうなずいた。
過保護な両親に溜息が出ることもある。
だけど、やっぱり私のこの家に生まれて幸せだと思う。
だって、今までずっと笑顔で過ごすことができたから。
紅茶の入ったティーカップをテーブルに戻した父は、小さく何度か頷いた。