箱入り結婚のススメ

どうしたらいいのだろう。
室賀さんは、内心怒っているかもしれない。

それくらい失礼なことだと思った。


なにか言わなければと焦っていると、それまで黙って話を聞いていた母が、突然口を開いた。


「あなた。ここは舞に任せてみましょうよ。
こうして挨拶に来てくださったんですから、いい加減な人ではないでしょうし」

「しかし……」


母が父に反論するなんて、今まで見たことがない。
だけど、母はとても穏やかな顔をしている。


「私、思い出しました。あなたとお付き合いを始めたときのこと」

「あ、あぁ……」


少し困ったような顔をした父は、しばらく黙って紅茶を口に運んでいる。
父と母が付き合い始めたとき、なにがあったのだろう。


「仕方がない。取りあえず、だ」


突然父がそう言いだして、私はハッとした。


「わかっております。ありがとうございます」


母の一言で、交際を認めてくれたのだ。

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