箱入り結婚のススメ
緊張が解けると、思わず泣きそうになった。
私の見合い話があったから、室賀さんはこうして来てくれたのだ。
それなのに、ここまで責められるなんて、室賀さんに申し訳がない。
「室賀さん、あの……」
どう言ったらいいのかわからない。
だけど、とにかく謝りたいと思った。
「舞さん」
それなのに、私を制した彼は、小さく首を振っている。
私の気持ちを理解してくれているような気がして、私は口をつぐんだ。
「ひとつ、お願いがあります」
視線を私から父に移した室賀さんは、予想しなかったことを口にした。
「……舞さんに、仕事を続けさせてあげられないでしょうか」
「えっ?」
室賀さんの言葉に驚いて、思わず声が出てしまう。
「ケガをなさったとお聞きした時、実は私もそんなに危ない仕事なのかと心配しました。
ですが、その後舞さんにお会いして、園児にケガがなくてよかったと口にされたのを見て、素晴らしい職業なのではと思い直しました」
室賀さんは、とても穏やかな顔をしている。
それに、あんなにひどいことを言われたのに、少しも気にしていない様に見える。