箱入り結婚のススメ

加奈さんと文香さんはとても楽しい人だった。
麻子の友達だから、きっといい人に決まっている。


私がそう思うのには理由がある。
幼稚園に就職してオロオロしていた私に、助け舟を出してくれたのが麻子だった。

彼女は私が行き詰って困っていると、こうしておけばいいのよなんていつも逃げ道を教えてくれた。


「真面目なのは舞のいいところだけど、それだけじゃ生き抜いてはいけないわ。
時には要領よく仕事をこなしていくことも大切なの」


麻子はいつもそう言っていた。


限られた友達と閉鎖された環境でしかかかわってこなかった私には、社会は難しすぎたのだ。
初めての経験にアタフタしていた私を面倒だとは言わず、いつも的確なアドバイスをくれた。



「お連れ様がいらっしゃいました」


それまでワイワイ盛り上がっていたのに、再びやって来た店員の声で皆、口を閉じる。
妙な緊張感の中、ふすまが開けられた。

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