箱入り結婚のススメ
「おいしい」
「ホントだ」
彼の微笑みは、私の心を穏やかにする。
レストランを出ると、かなり気温が下がっていて、息を吐くと白くなる。
「寒いね」
「はい」
私の右手をそっと握った室賀さんは、もう片方の手で包み込んだ。
彼の手は、とても温かかった。
だけど、恥ずかしくて、まともに顔を上げられない。
今日一日で、室賀さんとの距離がぐーんと縮まった。
「名残惜しいけど……そろそろ帰ろうか」
「はい」
私の手を包み込んだまま、少し寂しそうな顔をする彼に、私も胸が痛くなる。
ずっとこのまま一緒にいられたら……そんな感情が私を包む。
結局、私の帰るべき家は、あそこしかないのだと、室賀さんと過ごしてわかった。