箱入り結婚のススメ
「申し訳ありません」
「いえいえ、気にしないで」
室賀さんの手にもかけてしまった私は、慌ててハンカチを取り出して室賀さんの手を拭く。
それはまるで子供がお茶をこぼした時のように、とっさの判断だった。
「舞、大丈夫?」
ひどい失敗をしてしまったと落ち込んでいる私に、麻子が声をかけてくれる。
隣の井出(いで)さんといい雰囲気だったのに、会話を中断させてしまった。
「本当に申しわけありません」
「いえ、なんてことないですよ」
こぼれたビールはたいした量ではなかった。
だけど、精神的なダメージがかなり大きい。
さりげなく女子力をアピールするべし。とウーマンライフに書いてあったのに、これでは全く逆効果だ。
「ハンカチを汚してしまいましたね。洗ってお返しします」
「いえ、そんな。私がしたことですから」
慌てて室賀さんからハンカチを取り替えそうとしたけれど、ヒョイと引っ込められてしまった。