箱入り結婚のススメ
「舞」
麻子が目配せしている意味が、ピンと来た。
"次に会うきっかけをなんでもいいから残しておきましょう。"
ウーマンライフにそう書かれていたのを思い出したのだ。
ハンカチを返すためにまた会うという口実がひとつできたことになる。
返すのは、彼の方だけど。
とはいえ、会って間もないというのに大きな失敗をしてしまって、泣きそうだった。
「幼稚園は大変ですか?」
「えっ?」
失敗してしまったことで頭が一杯になっていた私に、室賀さんは優しく語りかけてくれる。
「はい。毎日アザが増えます。あっ……」
こんなこと、ちっとも女らしくないと思った私は慌てて口を閉じたけど、もう遅かった。
「アザとは……子供は元気ですからね」
「はい……」
会話が続かない。
ちらっと麻子を見ると、とても楽しそうに会話が弾んでいる。
私の隣にずっといてもらうのは、なんだか申し訳ない。