箱入り結婚のススメ
「そうだった」
少しバツの悪い顔をした室賀さんは「寒いから車に乗ろうか」と助手席のドアを開けてくれる。
「食事に誘いたいんだけど、疲れてるよね」
エンジンをかけるとすぐに、私の顔を覗き込んだ彼に、首を横に振る。
「疲れも吹き飛びました。だって室賀さんに会えたんだもの。あっ……」
思わず本音が出てしまったのは、気分が高揚しすぎていたからなのかもしれない。
だって、久しぶりに彼に会えて、おまけに嫉妬までされて……ドキドキが止まらないのだ。
「ありがとう、舞さん。くだらない嫉妬するなんて、ほんと恥ずかしいよ」
恥ずかしいなんて。
私はうれしかったのだ。
「それじゃ、リアンに行かない?」
「行きます! 今、家に連絡を入れますね」
私がバッグの中からスマホを取りだしてボタンを押そうとすると、彼が手を伸ばして止めた。
「僕が舞さんのお宅に電話を入れてもいいかな」
「室賀さんが?」
「うん。そうしたいんだ」