箱入り結婚のススメ
「すみません。誰かと席を変わりましょうか?」
私は耐えられなくなり、思いきって口を開いた。
「どうして?」
「どうしてと言われましても……私、こんな時どんなことをお話していいのかわかりませんので、室賀さん、退屈なさっていると思いまして」
「退屈なんてしてないですよ。
だけどもしできれば、その敬語はもうそろそろやめていただけると、話しやすいのですが」
「あっ、すみません」
初めての方には敬語。
これはもう鉄則だ。
小さな頃からそうしつけられてきたから、そうでない方が難しい。
「お育ちがいいのかな?」
「いえ、そんなことは」
「無理して敬語を使っている感じではないですからね。
でも、もう解除です。こういう席ではいりません」
「はい。すみません。こういう席は初めてなもので……あっ」
初めてなんて言ってしまった。
もしかしたらこれも、マイナスポイントかもしれない。