箱入り結婚のススメ

そして、あの電話から五日経ったその夜は、とうとう電話も鳴らなかった。

もしかして……これで彼とは終わったの?
そんな不安に襲われる。

会える距離にいないからこそ、電話での他愛ない会話は大切だったのに。

かといって、自分から電話をする勇気もない。
彼はきっと呆れている。もう、嫌われてしまったんだ。

電話がなくなって初めて、秀明さんに腹を立てつつも、彼のことが好きでたまらないのだと確信したのは皮肉だ。


次の日、園での仕事を終えた私は、落ち込んだ気分のままバス停に向かった。

少し待ち時間があった私は、何気なくバッグからスマホを取りだした。
すると、着信がある……しかも、秀明さんからだ。

歩いていたから、スマホが震えたのに気がつかなかったようだ。

今はまだ十九時半だから、ワシントンは朝の五時半くらいのはずだ。
こんな時間に……忙しいのに無理して? 

昨日はきっと、忙しくて電話できなかったんだ。

落ちていた気持ちが一気に持ち上がった。

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