箱入り結婚のススメ

それから私は、麻子に井出さんのことについて尋ねるのをやめた。
麻子が聞いてほしいと言ってきたら、話を聞けばいいんだとわかったから。


その週の土曜。夕方になって、突然麻子から電話が入り食事に誘われた。
指定されたレストランに行くと、井出さんの姿もあって驚く。


「舞、こっち」


店の奥から笑顔で私に手を振る麻子を見て、心が躍った。
きっと……うまくいったんだ。


「こんばんは。井出さん、ご無沙汰しています」

「速水さん、急にごめんね。麻子が室賀がいないから速水さんは暇に違いないなんて言うもんだから」

「あはは。その通りです」


井出さんの笑顔も、いつもより三割増しで輝いて見える。

ウエイトレスに注文を済ませると、麻子が「実は……」と恥ずかしそうに口を開いた。

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