箱入り結婚のススメ
「出張先から電話をしても、電話を切って仕事に入ったら、もうすっかり彼女のことは頭の中から離れてた。
海外でひとり寂しくしていても、電話でつながっている時以外は、頭の中は仕事のことばかりだった」
秀明さんはなにかを思い出すように言葉を紡ぐ。
「でも、舞は違ったんだ。
いつも一生懸命で、いろんなことにつまずきながらも、成長しようとしている姿が俺には眩しくて。
現状に満足して、必死になることを忘れていた俺は、舞に相当影響を受けて……」
私に? こんな大人の秀明さんが私に?
「仕事のしがらみに疲れると、舞の声が聴きたくなる。
仕事の時も勝負どころになると、舞の顔を思い浮かべて気合を入れた。
それに、パーティで奥さんをエスコートしているクライアントを見て、俺も舞を連れてきたいといつの間にか考えていた」
秀明さんは優しく微笑む。
「こんな言い方おかしいかもしれないけど、舞は俺の生活に欠かせない人になってるんだ」