箱入り結婚のススメ

「んっ……」


恥ずかしかった。
こういうキスがあることを知らなかったわけじゃない。
だけど、初めての経験に戸惑って、うまく息を吸えなくなった。


「舞、鼻で息をして」


秀明さんはそういいながらも、キスをやめようとはしない。
私の口内に侵入した舌は、私の舌と絡まって、その温もりを伝え続ける。

体はガチガチに固まってしまっていたけれど……それでも少しも嫌じゃなかった。
こうして大好きな人に求められているという状況は、私の胸を高鳴らせた。


「舞、愛してる」


彼の言葉に涙がこぼれる。
私だって、あなたのことを……愛してる。


やっとキスをやめた彼は、私を強く抱きしめた。


「ごめん。俺……」


私は首を横に振った。
私達は付き合い始めてもう八か月ほど経つ。

婚約までかわす仲だというのに、体の関係もない。

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