箱入り結婚のススメ

「舞」


リビングに置いたバッグを手にすると、彼は私を呼び止め、引き寄せる。


「愛してる」


そして重なる唇。

もう何度もこうしてキスされたことはあった。
だけど、今日は少し違う。

私の頭の後ろに手をまわした彼は、しばらく離れる様子が、ない。

彼は何度も角度を変えて、私にキスを続ける。
そして……一瞬唇が離れたすきに息を吸うと、唇の隙間から彼の舌が入ってきた。


「ん……」


こんなこと、初めてだった。
経験のない私を気遣ってくれていた彼は、一度だってこんなことしたことがなかった。

だけど……。


「口、開けて?」


緊張で体をこわばらせていると、それがわかった彼は一度私を離して囁く。


「舞が欲しい」


私の唇を覆った彼は、こわごわ唇を開いた私に、再び舌を滑り込ませてきた。

< 284 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop