箱入り結婚のススメ
「そろそろ時間みたい」
店員さんがラストオーダーを聞きに来た。
結局室賀さんとしか話していないけど、ホラーの話で盛り上がれるなんて、私としてはとても楽しい時間だった。
「女性は四千円で」
足りない分は男の人たちが払ってくれるという。
「そんなの悪いんじゃ?」と麻子に小声で聞いたら「バカね。男の人はこういうところで格好つけるものなの」と言われて、自分の恋愛経験値の少なさを思い知った。
「舞、楽しそうだったじゃん」
「う、うん」
麻子にそう指摘されて少し恥ずかしい。
こんなに男の人と話したのは、初めてだったし。
「それじゃあ、行きましょうか」
私たちは東野さんの声で居酒屋を出た。
「どうします?」
東野さんが居酒屋を出たところで、私たちに話しかける。
どうするって、なに?
私が首をかしげていると、皆はそれぞれに話し始めた。