箱入り結婚のススメ

「二次会もいいし、それぞれ、っていうのでも……」


二次会って、もう一軒どこかに行くことだよね。

私はちらっと腕時計を見た。
あまり遅くなるのはまずい。麻子のせいになってしまうから。

だけど、こんなに盛り上がっているのに、帰りますなんて言いにくい。


「速水さん、帰るよね」

「えっ? はい」


私に助け船をだしてくれたのは、麻子ではなく室賀さんだった。


「彼女、門限が厳しそうだから、僕が駅まで送るよ」

「おぉ、わかった」


室賀さんの提案に驚いていると、隣の麻子が私を肘でつっついた。


「それじゃあ残った人でもう一軒行きますか。室賀またな」


東野さんが室賀さんに手を挙げて、歩き出そうとした。


「いえ、でも……」

私のせいで室賀さんが帰らなければならないなんて、申し訳ない。

< 31 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop