箱入り結婚のススメ
「二次会もいいし、それぞれ、っていうのでも……」
二次会って、もう一軒どこかに行くことだよね。
私はちらっと腕時計を見た。
あまり遅くなるのはまずい。麻子のせいになってしまうから。
だけど、こんなに盛り上がっているのに、帰りますなんて言いにくい。
「速水さん、帰るよね」
「えっ? はい」
私に助け船をだしてくれたのは、麻子ではなく室賀さんだった。
「彼女、門限が厳しそうだから、僕が駅まで送るよ」
「おぉ、わかった」
室賀さんの提案に驚いていると、隣の麻子が私を肘でつっついた。
「それじゃあ残った人でもう一軒行きますか。室賀またな」
東野さんが室賀さんに手を挙げて、歩き出そうとした。
「いえ、でも……」
私のせいで室賀さんが帰らなければならないなんて、申し訳ない。