箱入り結婚のススメ
「舞」
「はい」
「お父さんには祝福してもらおうな」
普通なら怒ったとしても仕方がないような状況なのに、父のことも気遣ってくれる秀明さんがやっぱり好きだ。
「俺達も、舞のご両親みたいに、幸せになろう」
「……はい」
運転席から身を乗り出してきた秀明さんは、そっと私の唇にキスをした。
それから私たちは、ショッピングに出かけた。
こうしてふたりで手をつなぎながら街を歩くのは久しぶりだ。
「ホラー、行くか?」
「はい!」
ふたりの共通の趣味であるホラー映画を観に行くのは、これで五度目だ。
麻子に言うと「ホラーって、あなたたち変だから」なんて笑われたけど。
二時間ちょっとの映画が終わると、彼は私の手をとって映画館を出た。
「ほんとに舞って、怖がらないなぁ」
「怖かったですよ?」
「そんなこと言ったって、キャーと言ってるわりには、目が輝いてるぞ」
顔を見合わせてクスクス笑う。