箱入り結婚のススメ

こんな時間がずっと続くのだと思うと、とても心が穏やかになる。
秀明さんに出会えて、本当に良かった。

それから彼は「ちょっと買い物」と言って、私の手を引っ張った。


「どこに行くんですか?」

「うん、ちょっと」


言葉を濁した彼は、そのまま一番大きなデパートに入った。

入口そばのエスカレーターは人がごった返している。
迷子になりそうな私の手を握りおなした秀明さんは、そのエスカレーターに乗った。


「なにか買うんですか?」

「うん。ちょっと高い指輪を」

「えっ?」

「どこにする?」


『どこにする』って……それって、婚約指輪のこと?


「お父さんには必ず理解してもらう。だけど、舞を離すつもりはないから。
舞が一生俺のものだという証だよ」

「秀明さん……」


彼の気持ちは十分にわかっているつもりだ。
だけど、こうして形で示してもらえると、より安心できる。

秀明さんはそれがわかっているのかもしれない。

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