箱入り結婚のススメ

「舞。そうしてもらいなさい。室賀さん、お願いします」


断ろうとしたのに、麻子がダメ押しをする。


「わかりました。それじゃあ、行きましょう」

「は、はい」


室賀さんは私を誘って歩き始めた。


「門限がなんて言ってごめんね。でも、早く帰らないと行けなさそうだったから」

「はい。ありがとうございます。助かりました」

「本当に門限あり?」


隣を歩く室賀さんが、私の顔を覗き込む。


「えっと……特に決まっているわけではありませんが、麻子と遊びに行くことになっているので」

「なるほど。この不良娘がって言われちゃうわけだね。こんな男と歩いていると」

「いえ、そうでは……」


クスクス笑う彼は、私のスピードに合わせてゆっくり歩いてくれる。


「家まで送りたいところだけど、それじゃあ逆効果になりそうだな」

「家までなんて!」


駅でも申し訳ないのに。

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