箱入り結婚のススメ

「私、とてもうれしいです。
お母様に料理を教えていただけるのを楽しみにしてたんです」

「大したものはできないわよ」

「いいえ。秀明さんは、今でもお母様の作ったオムライスのことをよく話してくれるんです」

「秀明が?」


お母さんが目を見開いて驚いている。


「それにしても、オムライスなのね。もっと凝ったものも作ったのよ?」


口角をあげて微笑むお母様は、終始楽しそうだった。


寿司が出来上がると、四人で食卓を囲んだ。


「ほぉ、シラスなんて久しぶりだ」


秀明さんの声が上ずる。


「東京じゃあ、なかなか食えないだろ」

「そうだな」


それから、私の仕事のことや秀明さんの海外出張のことなどが話題になった。

< 347 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop