箱入り結婚のススメ

「もう少ししましたらパイプオルガンが鳴り出します。
私が合図を出しますので、ゆっくりお進みください」


安永さんが私達から少し離れると、父が突然口を開いた。


「舞」

「はい」

「お前はよくできた娘だ」

「お父様……」


これからが本番だ。
まだ泣いてはいけないと我慢したのに、一粒だけ涙がこぼれた。

ずっとどこかで反発していた父と、本当の意味で心がつながりあえた気がしたのだ。


「それでは、参ります」


やがてパイプオルガンの生演奏が始まり、大きな白いドアが開く。

事前に教えられたとおり一歩一歩進むと、壮大なステンドグラスから降り注ぐ光を浴びた秀明さんが見えた。


緊張しすぎて、周りが見えない。
ただ、秀明さんのことしか、見えない。

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