箱入り結婚のススメ
腕の痛みより『先生として合格』と言われたことがうれしい。
私や麻子のような補助担任は、あくまで補助で、担任の言うことに従って園児にかかわる。
だから園児にとっては先生でも、職員室ではただの見習いなのだ。
「これは少しひどいわね」
園長先生が私のTシャツをまくり上げると、真っ赤に腫れた腕が見える。
「とにかく冷やしましょう。すぐに病院に行った方がいいわ」
「でも……」
「園庭は私が出れば済むことでしょう? タクシー呼びますね」
園長先生が私の代わりを?
申し訳なかったけど、やはり早く病院に行って治した方がいいのかもしれない。
「いつもお世話になっている整形外科の先生が診てくださるわ。
今は診察時間外だから、救急の入り口から入って整形の先生を呼んでもらって」
あっという間にすべての手配を済ませてくれた園長先生に、頭を下げる。
普段は園児とのかかわりは少ないけれど、こうやって最後の砦として、園児だけでなく私たち職員も支えてくれているのだと改めて感じた。