箱入り結婚のススメ
「あー、こんなこと初めてだ。思いっきり拒否されているのに、付きまとうなんて」
「拒否?」
「したでしょう? アドレスがわからないって、教えてくれなかった」
それは……まさか、嘘をついて逃れたと思われているの?
「いえ、そうではなくて……。
本当に私、機械音痴で、自分のアドレスの表示の仕方がわからないんです。
しかも、迷惑メール対策に長いものにしてしまっていて……」
今度驚きの声を上げるのは、室賀さんのほうだった。
「はぁ。僕はなんてバカなんだ」
よく考えたら、室賀さんの言うとおり、拒否したと思われても仕方がないのかもしれない。
どうしていいのかわからずに立ち尽くしていると、室賀さんは「はい」と手を出した。
「えっと……」
「それじゃあ、改めて。速水さんの連絡先を教えてほしいです。
僕が表示させるから、スマホを貸してもらえないかな。
もうまどろこしいので、教えたくないならはっきり言ってくれると……」
「いえ。とんでもないです」
私も室賀さんにもう会えないと、へこんでいたわけだし。