箱入り結婚のススメ
バッグからスマホを出そうとしたけど、片手が使えないから立ったままだと難しい。
「あの、よければ家まで送るよ。あそこに車あるから、車の中で交換しようか」
困っていた私に気がついた室賀さんは、そう言ってくれる。
「あっ。でも、嫌なら嫌と……」
「いえ、とてもうれしいです。タクシーに乗ろうと思ってましたから」
それから彼は私を促して、駐車場へと歩き始めた。
「ヒビということは、しばらくギプスということ?」
「はい。それほどひどくはなかったんですが、仕事柄子供たちは普通にぶつかってきますし、使うなといわれても思わず手も出てしまいます。
だからがっちり固定しておこうと言われまして」
「なるほど。しばらく不自由なのか。大変だ」
チラッと私の腕に視線を送った室賀さんは、小さく頷いた。