箱入り結婚のススメ
「なにか?」
「方向音痴ではなさそうだ」
「えっ、失礼ですね」
とはいえ、私もそうだななんておかしくなって、笑ってしまった。
「若槻さんが、メールの最後で、舞さんは箱入り娘だからよろしくって」
「いやだ、麻子」
そんなこと、言わなくたって。
「いや、でも大切にされてるんだってこの間わかったし。門限がバッチリあるなんて」
「すみません……」
合コンの時、室賀さんも帰らせてしまったことを思い出して、申し訳なくなる。
「いや、たしかに男の立場からすると、門限って厄介なものだけど、ちょっと身が引き締まるっていうか」
「身が引き締まる?」
ハンドルを握る室賀さんの顔を盗み見ると、彼は真剣な顔をしている。
「僕……真剣に舞さんと付き合いたいと思ってる。その先に結婚があるというようなつもりで」
「結婚?」
予期せぬ言葉に思わず彼を見つめたけれど、とてもいい加減なことを言っているようには見えない。