箱入り結婚のススメ

「あっ、そう言えば!」

「えっ、まだなにか?」

「いえ、室賀さんお仕事……」


彼が仕事を放りだして飛んできたと言っていたことを思い出したのだ。
送ってもらっている場合じゃない。


「あはは。明日でOK。
確かに途中だったけど、ちゃんと就業時間までは勤務したしね」

「すみません」

「それにしても……舞さんの”あっ”は怖い」


初めて「舞さん」と呼ばれた私は、なんとなく照れくさくなって思わず顔を伏せた。


私が自宅の住所を言うと、彼は素早くナビに入力して、車を発進させた。
しばらく走ると、大通りから外れて静かな住宅街へと入った。

「ここの辺りって、閑静な住宅街だよね」

「そうですね。落ち着いた雰囲気で住みやすいです。
あっ、ここを左に曲がるとショートカットして早く着けます」


私がナビとは違う道を教えると、室賀さんはクスクス笑う。

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