箱入り結婚のススメ

室賀さんの思わぬ申し出に、激しく動揺してしまう。
まさか、また会えるなんて。

『あぁ、そうだ。舞さんには、はっきり言わないといけなかったね。
迎えに行きたいんだ。舞さんに会いたい』

「はっ、はい……」


『会いたい』なんて、ストレートに言われて、思わず顔を赤らめる。

私だって、彼に会いたい。
でも、恥ずかしくて、とてもそんなことは言えない。

それでも、バス停近くの本屋で待ち合わせをすることになった私は、母にメールを入れた。

"麻子と食事をして帰ります。"

このメールを送るのを、何度もためらった。
だって、嘘だから。

でも、他に室賀さんと一緒にいられる方法が見当たらない。


本屋に入ると、雑誌売り場が目に入った。
ウーマンライフの最新号が発売されているのに気がついた私は、思わずそれを手に取った。

< 92 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop