箱入り結婚のススメ
妙に感心して次のページをめくろうとしたとき、視界からウーマンライフが消えた。
「へぇ、恋人に甘えられ頼られることは、うれしいもの、か。その通りだ」
「む、室賀さん!」
まだ時間がかかるとばかり思っていた私は、慌てた。
「こんばんは。これ、買うの?」
「いえっ」
「あはは」
室賀さんはとてもおかしそうに笑うと、しばらくウーマンライフを眺めて元の場所に戻した。
「行こうか。よければ食事に誘いたいんだけど……男のプライドがあるので、拒まないでほしいな」
「あっ……」
もうそこまで読んじゃったの?
「なんて。門限あるし、帰る?」
「いえ、あの……母に食事をして帰ると」
「ほんとに?」
室賀さんがとてもうれしそうな顔をした。
私……彼と約束をしたわけじゃないのに、勝手に食事だなんて決めたりして……。