初デート~12年目の恋物語 番外編(1)~
それから、わたしたちは、デパートに行って、
カナはわたしのお目当てのハンドクラフト展に、付き合ってくれた。
図書館と同じで、カナは、わたしが色んなものを見るのを、面白そうに眺めて、
たまに、
「ハル、これ、どう?」
なんて言って、ビスケットやフルーツが山盛りついたスイーツデコの髪飾りを手にとって、わたしの髪に当ててみたり、
「へえ~。あんな風に作るんだ。ハル、知ってた?」
って、革細工の実演コーナーで立ち止まってみたり。
なんだ。
カナを誘えばよかったんだ。
カナの手のぬくもりを感じながら、自然とそう思っていた。
それに、やっぱり、わたしは世間知らずで、
駅を降りて、どこに行けばいいかも分からず戸惑い、
土曜日のデパートの混雑に圧倒され、
カナがいなかったら、もしかして、押しつぶされてたんじゃないかって、思ったりもした。
お昼ご飯も、少し早めにってカナが連れて行ってくれて、
ご飯を食べながら、すぐにいっぱいになった席を見て、
外に列の長さに驚いて、
しみじみ、ひとりで来なくてよかった、って思っていた。
カナは、得意そうに、
「連れてきて、よかっただろ?」
って、胸を張った。