初デート~12年目の恋物語 番外編(1)~


それから、わたしたちは、デパートに行って、

カナはわたしのお目当てのハンドクラフト展に、付き合ってくれた。



図書館と同じで、カナは、わたしが色んなものを見るのを、面白そうに眺めて、

たまに、



「ハル、これ、どう?」



なんて言って、ビスケットやフルーツが山盛りついたスイーツデコの髪飾りを手にとって、わたしの髪に当ててみたり、



「へえ~。あんな風に作るんだ。ハル、知ってた?」



って、革細工の実演コーナーで立ち止まってみたり。



なんだ。

カナを誘えばよかったんだ。



カナの手のぬくもりを感じながら、自然とそう思っていた。





それに、やっぱり、わたしは世間知らずで、

駅を降りて、どこに行けばいいかも分からず戸惑い、

土曜日のデパートの混雑に圧倒され、

カナがいなかったら、もしかして、押しつぶされてたんじゃないかって、思ったりもした。



お昼ご飯も、少し早めにってカナが連れて行ってくれて、

ご飯を食べながら、すぐにいっぱいになった席を見て、

外に列の長さに驚いて、

しみじみ、ひとりで来なくてよかった、って思っていた。



カナは、得意そうに、



「連れてきて、よかっただろ?」



って、胸を張った。

< 23 / 27 >

この作品をシェア

pagetop