初デート~12年目の恋物語 番外編(1)~
「誰と?」
「え? 一人でよ」
ママは、わたしの顔をまじまじと見つめた。
……ママ、それは失礼よ。
いくら、普段、一人で出かけたりしないからって。
わたし、もう高校生なんだし。
だけど、わたしの気持ちを知ってか、知らずか、ママはパンと両手を合わせて、ニッコリほほえんだ。
「叶太くんを誘いなさい」
「え? なんで?」
カナは、もちろん、ハンドクラフトなんて興味がない。
たぶん、読書と同じくらい、興味がないと思う。
「何でもいいから、叶太くんを連れて行きなさい」
連れて行きなさいって、ママ、まるでカナのこと、モノみたいに……。
「陽菜、あなた、電車なんて乗ったことないでしょう?」
わたしは頷いた。
だって、だからこそ、電車に乗ってみようと思ったんだもの。
「揺れるし、どこでも降りれるって訳じゃないし、具合が悪くなったら大変よ」
基本的には何でも自由にさせてくれるママだけど、電車はダメらしい。
ママが言いたいことは分かるけど……。