ファインダー越しの恋
戦前に見た姿と変わらない、涼やかで凛とした着物姿に俺は見とれた。


相変わらず、シズさんはこちらには気づかない。

俺はただ黙って、シズさんが横を通り過ぎるのを感じていた。


もう、いい人ができたんじゃろうか・・・

シズさんのような人が、いつまでも1人でいるはずが無い。


「うちにシズもまだ嫁にいっとらんのですよ」

福山のババちゃんの言葉をふと思い出した。
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