キスしたくなる唇
「意外と狭いでしょ? 2DKなんだけど、一部屋はアトリエに使っているからここにしかベッドが置けないんだ」

 2DKの部屋で、玄関を開けると目に入るのはブルーで統一されたセミダブルのベッドだ。
普通のワンルームマンションよりは広いが、大きな家具のせいで狭く感じるだろう。

「わたしの部屋よりも広いよ」

「そうなんだ。そこへ座ってて。部屋すぐに暖かくなるから」

 2月になったばかりで雪でも振りそうなくらいに外は寒かった。

 千秋さんはローテーブルそばの二人掛けのソファに座ったが、すぐに立ち上がる。

「あ、怜央。手を洗いたいんだけど」

「そこのドアの向こうが洗面所。勝手にどうぞ」

 千秋さんは示したドアの中へ入って行った。

 うがいをしている音が聞こえてくる。

 それから戻ってくると、ローテーブルの上に買ってきたものを出し始めた。

 俺はお湯を沸かして、インスタントコーヒーを淹れている。

 飲み物は付いていたが、ずっと外にいた千秋さんには温かいものが必要だろう。

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