キスしたくなる唇

暴れる心臓

千秋Side
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 怜央の部屋に、とうとう来ちゃった!

 玄関を入ってまず目に入ったベッドに視線が釘付けになってしまった。

 25才の大人の女だけど、一人暮らしの男性の部屋に入るのは初めて。

 いくら小さい頃から一緒に過ごしていた怜央でも、今日は唇をずっと見ていたせいか意識してしまっている。

 胸の鼓動を落ち着かせるために、洗面所へ行った。

 洗面台に男物の化粧品に整髪料などが置かれている。

 歯ブラシは1本。

 女の子の物を匂わす物がなくて、わたしは心から安堵した。

 リビングに戻ると、怜央はキッチンでマグカップを用意していた。

 コーヒーを淹れている怜央はカッコよくて……見ているだけで、心臓がドキドキしてくる。

 心臓! 静まれ!

 暴れる心臓は復活し、もう一度落ち着かせるために目についた本棚に近づいた。

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