闇に響く籠の歌
そう言いながら、水瀬はゆっくりと跪くと手を合わせている。その姿はどうみても死者を悼む姿にしかみせない。しかし、圭介にはどうしてもそれが信じられない。だからこそ、彼は水瀬に声をかけることしかできない。


「たしかにそうなんです。でも、あまりにも荒唐無稽な考えなんですけど、これしかスッキリしないんです」

「圭介君は何を考えてるの?」

「あれは、全部、水瀬さんが仕組んでいた。復讐しようとしていたのは柏木さんもだろうけど、水瀬さんもそうだった。でも、警察官のあなたが手を汚すことはできない。だからこそ、あなたは柏木さんを利用して復讐した。そう思えば、あの時、斎藤さんの家に柏木さんが来たことも、彼女を刺したことも、最後に柏木さんが自殺したのも納得できる」


もっとも、そう言いながらも圭介はこの言葉を否定して欲しいと思っている。だが、そんな彼の思いに気がついているのか、いないのか。水瀬はニッコリと笑うと彼の声に応えている。


「圭介君って想像力が旺盛なんだね。でも、もしそうだとしても証拠はないよね。なにしろ、あの事件は犯人である柏木さんが親父さんの前で自供したようなものなんだから。そして、上層部はあれを連続殺人だなんて思っていない。つまり、誰にも証明できないんだよ」


そう言うと、水瀬はこの話はこれで終わり、というように立ちあがる。その姿にこれ以上の追及はできないと感じたのだろう。圭介はガックリと肩を落としている。そんな彼に、水瀬はポツリと言葉を漏らしていた。


「圭介君って、思ったよりも鋭いんだね。まさか、あの時の顔を見られているとは思わなかった。でも、そのことを誰に話しても無駄だと思うよ。そのことは君が一番よく知っていると思うけどね」


そう言うと、水瀬は今度こそお別れ、というようにその場を立ち去っている。そんな彼の後ろ姿を見た圭介は背筋がゾクリとするのを抑えることができない。

その時、どこからともなく『か~ごめ、かごめ』と聞こえてくるような気がする。そう思ったとたん、彼はゴクリと喉を鳴らすことしかできなくなっていた。



~Fin~





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