ヤクザは嫌い、です。
それでも優斗は校舎の方に向かって歩き続けている。
すると、
「きゃっ」
遠くで見ていた女の子…この子も優斗の事が好きなんだろうか…手にプレゼントみたいなものを持った子が、
取り巻きの女子にぶつかられ、その場に倒れてしまった。
…あ……
「大丈夫か?」
そう言って手を差し出したのは優斗だった。
「あ、はい…ありがとうございます…」
頬を赤らめてお礼を言う女の子。やっぱこの子、優斗のこと好きだよね…?
そしてこの子に嫉妬してか、目つきが鋭くなる取り巻き達。
携帯を握る手が強くなる。
…なんだ…優斗ってやっぱモテるんじゃん。
ここで私が出て行っても…ね。
…なんで少し寂しいと思ってるんだろ。
あぁ…もう帰ろう…。
そして振り返ろうとしたとき、
ぐらっ…
…あ、ダメだ…
またこのパターンか…
「あれ…朱莉ちゃん?!」
…拓哉さんの声が遠くで聞こえる…。
「え…朱莉?!」
………