黒瀬くんの恋模様。
「だってお前みたいな糞に文香が惚れるわけねーじゃん?そのサングラスだって不細工な顔隠すためのもんだろ?」
冷静になって聞くとハル先輩の声だ。
でも、なんでそんなにあえて挑発させるんだ…?
俺は文香の手をゆっくりと握って、後ろを振り返った。
「お前いい加減黙れよ」
聞こえてきた低くて酷く無機質な声。
その瞬間、男はハル先輩に抱きつくような姿勢になる。
「…がはっ」
苦しそうなハル先輩の声に身体が震える。
「さっきまでの威勢はどうしたんだ?あぁ?」
俺達の方から男の顔は見えないけど、ハル先輩の顔は見えた。
たぶんハル先輩は殴られている。
その証拠に苦しそうに汗をかいて声を漏らしながら、俺たちを見つめると微笑んでいた。
そして大きく口を動かし始めた。